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結論から先に書く。「もう明日会社に行けない」と思ったら、辞める前に「休職」という選択肢がある。健康保険に1年以上入っていれば、医師の診断書ひとつで給料の約2/3が最大1年6ヶ月支給される「傷病手当金」が使える。いきなり退職するより、心も財布も削られない。
自分も前の会社で限界だったとき、この制度を知らずに勢いで辞表を叩きつけて、その後3ヶ月無収入で貯金が溶けた。あのとき休職を選んでいれば、冷静に次を考えられたはずなんだよね。
この記事では、休職と傷病手当金の仕組み、申請の流れ、そして休職明けの選択肢(復職・転職・退職代行)まで、実体験と制度の正確な情報を混ぜて書いていく。

「もう辞めるしかない」と思う前に、休職という逃げ場がある
自分が最初に会社を辞めたときのことを話す。
朝、駅のホームで電車を3本見送った。それでも足が動かなかった。上司の顔を思い出すと吐き気がした。その日の夜、勢いで辞表を書いて、翌日投函した。
スッキリした。最初の1週間は。
でも2週間目、銀行残高を見てゾッとした。失業保険は自己都合だと3ヶ月の給付制限(当時)。その間、家賃も光熱費も遠慮なく引き落とされていく。結局、回復しきらないまま焦って次の仕事を決めて、また同じような環境に飛び込んで、また病んだ。
あとから知ったのが「休職」と「傷病手当金」だった。
心身が限界なら、まず医師の診断書をもらう。うつ病でも適応障害でも、自律神経失調症でも、医師が「就労不能」と判断すれば診断書は出る。それを会社に出して、会社の就業規則に沿って休職する。その間、健康保険から給料の約2/3が支給される。これが傷病手当金。
「そんなうまい話あるの?」と思うかもしれない。でもこれは社会保険料を払ってきた労働者の正当な権利で、健康保険法第99条で明確に定められている制度なんだ。
傷病手当金の仕組みを、もう一度ちゃんと整理する
勢いで書くと取りこぼすので、ここは正確に書く。
支給される4つの条件
- ①業務外の病気・ケガで療養中であること(業務中なら労災)
- ②仕事に就けない状態であること(医師の判断)
- ③連続3日間の待期期間を完成させていること(有給でもOK)
- ④待期完成後、4日目以降に給与の支払いがないこと(または減額分のみ支給)
健康保険の被保険者であれば、正社員でも契約社員でもパートでも対象になる。国民健康保険(自営業・フリーランス)は対象外なのでそこだけ注意。
いくらもらえるのか
ざっくり標準報酬日額の3分の2。たとえば月給30万円なら、日額換算で約1万円、その2/3=約6,667円/日。1ヶ月休めば約20万円が振り込まれる。手取りベースで考えると実質7割近くになるケースもある。
税金もかからない(非課税)。社会保険料は引かれ続けるけど、住民税を気にしなくていいのは地味に大きい。
期間はどれくらい続くのか
令和4年(2022年)1月1日から、制度が通算1年6ヶ月に変わった。以前は連続1年6ヶ月だったけど、今は復職を挟んでも、通算で1年6ヶ月まで受け取れる。
つまり、3ヶ月休んで復職して、半年後にまた調子を崩して休んでも、残り1年3ヶ月分の枠が生きている。これが意外と知られていない。
休職 vs 即退職 vs 退職代行 ── 3つの選択肢を冷静に比較する
「もう辞めたい」の中にも、段階とパターンがある。自分が整理した比較表がこれ。
| 項目 | 休職(傷病手当金) | 即退職(自分で退職) | 退職代行 |
|---|---|---|---|
| 収入 | 給料の約2/3を最大1.5年 | 退職後は失業保険(給付制限あり) | 退職後は失業保険(同上) |
| 会社との接触 | 最低限(傷病手当金申請書のやり取りのみ) | 退職交渉で直接やり取り | 基本ゼロ |
| 心身の回復期間 | 確保しやすい | 金銭的不安で焦りがち | 即離脱で精神的負荷は減るが収入は無 |
| こんな人向け | 診断書が出る状態で、復職の余地もある人 | 貯金があり、次の目処が立っている人 | 会社に連絡できない・引き止めが怖い人 |
| 費用 | 0円(自分で申請可) | 0円 | 2.5万〜5.5万円程度 |
大事なのは「今の自分はどれが合うか」を冷静に見ること。
休職の良いところは、辞めずに距離を取れること。3ヶ月休んで冷静になれば、「やっぱり辞めて転職しよう」でも「復帰して違う部署を希望しよう」でも、選択肢が残っている。退職してしまうと、その後の身分が「無職」になるので、心理的にも手続き的にも重くなる。
実際の申請の流れ ── 自分がやるならこう動く
休職と傷病手当金の申請、思ったより煩雑じゃない。順番はこれ。
- 心療内科・精神科を受診する。初診で診断書が出ないこともあるので、症状を率直に伝える。「朝起きられない」「電車に乗れない」「食欲がない」「涙が出る」など事実ベースで。
- 診断書を会社に提出する。提出先は人事 or 直属の上司(就業規則に従う)。メールや郵送でもOK。対面が無理なら無理しない。
- 会社の就業規則で休職期間を確認する。多くの会社は最低でも3ヶ月〜1年の休職制度がある。
- 傷病手当金の申請書を取り寄せる。全国健康保険協会(協会けんぽ)か、会社の健康保険組合から。
- 申請書を記入して提出。本人記入欄・医師記入欄・会社記入欄の3つがあり、医師に記入してもらうのに料金がかかる(3,000〜5,000円が相場)。
- 初回振込は申請から約1ヶ月後。以降は1ヶ月ごとに申請して振り込まれる。
自分が最初に病院行ったときは、「こんなことで診断書もらっていいのかな」と罪悪感があった。でも医者から「あなたの状態は明らかに休養が必要なレベルです」と言われて、やっと肩の力が抜けた。
病気として扱うことは、甘えじゃない。労働基準法第39条で有給休暇が労働者の権利として定められているのと同じで、健康保険法で定められた制度を使うのは、加入者の正当な権利。
※個別の法的判断や医学的判断については、弁護士・医師にご相談ください。
休職明けに待っている3つの分かれ道
休職して回復してきたあと、人生には3つの分岐がある。
①復職する
同じ会社に戻る選択。ただし注意点がある。元の部署・元の業務に戻ると、再発率は高い。これは自分の周りの体験談でも、産業医の記事を読んでも共通している。戻るなら部署異動や業務軽減を条件に会社と交渉するのが現実的。
②転職する
回復してから転職活動するパターン。休職期間中の職歴は履歴書にそのまま書かなくてよく、「一身上の都合で休養後、転職活動中」と伝え方も工夫できる。転職エージェントは複数登録して比較するのが鉄則。
③退職代行で区切りをつける
復職の手続きや上司との面談を考えるだけで症状が悪化する ── このパターンは正直、少なくない。自分の知り合いも、休職満了が近づくにつれて「会社から電話が来るだけで動悸がする」状態になった。
結局、彼は退職代行サービスを使って、会社と一切やり取りせずに退職した。傷病手当金は退職後も条件を満たせば継続受給できる(資格喪失日前日までに1年以上の被保険者期間があれば)から、金銭的なクッションを残したまま次に進めた。
「休職→傷病手当金受給→回復しなければ退職代行で離脱」という流れは、制度的にも心理的にも一番ダメージが少ないルートだと個人的には思ってる。
よくある質問
Q1. 上司に「休職なんて甘え」と言われそうで怖いです
診断書がある以上、会社は休職申請を原則拒否できない。もし拒否されたり嫌がらせを受けたら、労働局や労働基準監督署に相談できる。それは明確にパワハラの領域。
Q2. 休職中に転職活動してもいいですか
グレーゾーン。傷病手当金は「働けない状態」に支給されるものなので、積極的な転職活動は趣旨に反する可能性がある。回復してから、受給を止めて転職活動に入るのが安全。
Q3. 退職しても傷病手当金は続きますか
退職日までに継続して1年以上の健康保険被保険者期間があり、退職日に傷病手当金を受給中(または受給条件を満たしている)なら、退職後も残り期間を継続受給できる。退職日当日に出勤してしまうと条件を満たさなくなるので要注意。
Q4. 休職中に会社からの連絡がしんどいです
連絡手段はメールのみ・月1回のみ、など条件を決めていい。それでも無理なら、復職をあきらめて退職代行を検討するのも選択肢。退職代行サービスなら会社との連絡を全て代行業者に任せられる。
Q5. 心療内科の初診でいきなり診断書もらえますか
医師の判断次第。1〜2週間経過観察してから、という医師もいる。症状の重さを正直に伝えることが大事。
あなたの状況別おすすめアクション
- まだ何とか出勤できているけど限界が近い人 → まず心療内科を予約。診断書が出れば休職の選択肢が手に入る
- もう出勤できず、会社に電話すらできない人 → 退職代行サービスで会社との接触を遮断しつつ、並行して病院へ。退職後も傷病手当金を継続受給できる可能性がある
- 休職中で、このまま復帰するか辞めるか迷っている人 → 焦らない。判断は回復してから。主治医と産業医、どちらの意見も聞いて決める
まとめ:辞める前に、もうひとつだけ選択肢を持っておく
「辞めるしかない」と追い詰められているとき、視野は狭くなる。自分もそうだった。でも、給料の2/3が1年6ヶ月もらえる制度が存在していて、それを使う権利が自分にあるという事実は、知っておくだけで呼吸が少し楽になる。
辞めるのは、いつでもできる。でも、心と財布を削り切ってから辞めると、その後の再スタートが本当にきつい。
休職→傷病手当金→回復→そこで冷静に「復帰・転職・退職代行」を選ぶ。これが自分が過去の自分に教えてあげたかった順番。
あなたは悪くない。まずは今週、心療内科の予約を取るところから。それだけでも、もう一歩前に進んでる。


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