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先に要点だけ。
有給消化中も、あなたはまだ前の会社の社員です。
退職日までは雇用契約が続いていて、社会保険も雇用保険も前の会社で加入したままになっています。
その状態で転職先に入社すると、社会保険は二つの会社にまたがる届出が必要になり、雇用保険は二か所同時には加入できません。
前の会社の就業規則にある兼業の決まりにも引っかかるかもしれません。
いちばん揉めにくいのは「退職日=有給の最終日」にして、入社日をその翌日以降に置く組み方です。
自分で言い出せないなら、有給を使い切りたいという意思を退職代行に伝えてもらう方法もあります。
転職先から「できれば来月の頭から来てもらえませんか」と言われた。
ありがたい話なのに、手元には有給がまだ残っている。
入社を遅らせたら印象が悪くなりそうだし、かといって有給を捨てるのも悔しい。
「有給中なんだから、もう働き始めてもバレないんじゃない?」と考えたこともあるかもしれません。
その迷い方、すごく普通だと思います。
ただ、入社日を重ねるやり方は、書類のところで高い確率で詰まるんだよね。
この記事では、どこで詰まるのかを先に並べて、そのうえで有給を使い切れる日程の組み方をまとめます。
この記事でわかること
- 有給消化中の立場と、入社日を重ねたときに起きること
- 社会保険・雇用保険・兼業規定のどこで詰まりやすいか
- 退職日と入社日を重ねずに、有給を使い切る日程の組み方
- 退職代行に有給消化の意思を伝えてもらうときの注意点
有給消化中は「まだ前の会社の社員」。入社日を重ねると詰まるところ
休んでいるだけで、雇用契約は続いている
ここを勘違いしている人はけっこう多い気がします。
最終出社日を過ぎると、気持ちの上ではもう辞めた感覚になるんですよね。
でも法律上、有給休暇は「働く義務のある日に、賃金をもらいながら休む」仕組みです。
根拠は労働基準法39条で、年次有給休暇は条件を満たした労働者に与えられる権利とされています。
つまり有給中の給料は前の会社から出ていて、あなたは退職日まで前の会社の社員のまま。
転職先の入社日がその期間に入れば、二つの会社に同時に雇われている状態になります。
退職日の後ろには、有給をずらす先がない
会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に有給の日をずらしてもらう「時季変更権」があります(労働基準法39条5項)。
ただ、退職日が決まっている人の場合、その後ろには休みを移す日そのものがありません。
そのため、退職前の有給消化を時季変更権で止めるのは難しい、という見方が実務では一般的です。
「辞める人に有給はあげられない」と言われたとしても、それは会社側の言い分であって、法律の決まりではありません。
個別の状況で判断が分かれることもあるので、揉めそうなときは労働基準監督署や弁護士に相談してみてください。

社会保険:二つの会社で加入すると届出が必要になる
健康保険と厚生年金は、退職日の翌日に前の会社での資格がなくなります。
逆に言えば、退職日までは前の会社の健康保険証が有効な状態です。
その間に転職先でも加入の条件を満たすと、日本年金機構の案内では、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に出すことになっています。
保険料もそれぞれの会社の報酬に応じて按分されるので、両方の会社の担当者が手続きに関わることになります。
重ねた期間が数日だったとしても、この手続きは発生するんですよね。
要は「黙っていればバレない」は通りにくい、ということです。
雇用保険:二か所同時には加入できない
雇用保険はもっと単純です。
厚生労働省の案内では、同時に二つ以上の会社に雇われている場合、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている一つの会社でしか加入できないとされています。
加入の条件や手続きの流れは、ハローワークインターネットサービスの雇用保険の案内でも確認できます。
前の会社で資格がまだ残っているうちは、転職先で資格取得の手続きがスムーズに進まないことがあります。
転職先の人事から「前職の離職日を教えてください」と聞かれて、そこで重なりに気づかれるパターンもあります。
就業規則:在籍中は前の会社の兼業ルールがかかる
見落とされがちなのがここです。
在籍中である以上、前の会社の就業規則も有効なまま。
副業や兼業を「許可制」や「届出制」にしている会社は珍しくありません。
転職先が同業なら、競業に関する決まりに触れる可能性もあります。
最後の最後で「規則違反だ」と言われると、退職金や離職票のやりとりが気まずくなる。
これ、地味にしんどいんだよ。
自分の会社の就業規則にどう書いてあるかは、一度確認しておくと安心です。
有給を捨てずに、日程を重ねない組み方
基本は「退職日=有給の最終日」
考え方はシンプルで、次の順番で日付を決めていきます。
- 最終出社日を決める
- 残っている有給の日数ぶん、会社の休日を除いて数える
- 有給を使い切る最後の日を退職日にする
- 入社日を退職日の翌日以降に置く
例えば有給が10日残っていて、土日休み・祝日なしの期間なら、使い切るまでにおよそ2週間かかります。
月末を退職日にして、翌月1日を入社日にすれば、前の会社の資格がなくなる日と転職先で加入する日がぴったり同じ日付になります。
健康保険の空白も重複も出ないので、手続き上いちばんきれいな形じゃないかな。
退職日の前後で必要な届出をまとめて確認したいときは、退職後にやるべき保険・年金・税金の手続きリストも参考になります。
転職先には「在籍中なので」と理由を添えて相談する
入社日の相談は、わがままではありません。
「前職の有給消化が○日まであり、在籍が重なると社会保険の手続きが二重になるため、○日入社でご相談できませんか」
こう伝えると、相手の人事も事情を理解しやすいはずです。
手続きの手間を避けたいのは転職先も同じなので、理由がはっきりしていれば調整に応じてもらえることも多いと思います。
どうしても早く来てほしいと言われたら、そこで初めて下の比較表の選択肢を考えれば十分です。
3つの選択肢を比べてみる
| 選択肢 |
有給・お金 |
社会保険・雇用保険 |
向いている人 |
| 入社日を遅らせて有給を使い切る |
有給分の給料を全額受け取れる |
重ならないので追加手続きなし |
転職先が入社日の相談に応じてくれる人 |
| 退職日を早めて有給を一部あきらめる(買取を相談) |
残りは消える。 買取は会社の任意で、応じる義務はない |
重ならないので追加手続きなし |
入社日をどうしても動かせない人 |
| 在籍のまま入社する(重ねる) |
両方から給料が出る |
二以上事業所勤務届が必要。 雇用保険は一か所のみ |
両社の了承と兼業規定の確認が取れている人 |
自分なら、まず一つ目を転職先に相談します。
二つ目は損をするぶん気持ちの区切りはつけやすいけど、有給は本来あなたの権利なので、最初から手放すのはもったいない気がするんですよね。
三つ目は選べなくはないものの、両方の会社に話を通すのが前提になります。
こっそりやる方法として選ぶものではないです。

有給消化の意思を退職代行に伝えてもらうとき
「有給を使ってから辞めたい」は伝えてもらえる
上司の顔を見ると、有給の話を切り出せない。
「繁忙期に有給全部なんて」と言われるのが目に見えている。
そういう職場だと、日程の話以前に最初の一言が出てこないんですよね。
その状態が続いているなら、上司が怖くて退職を言い出せないときの具体的な解決策もあわせて読んでみてください。
退職代行を使う場合、「退職日は○月○日」「それまで残りの有給を消化したい」という希望を、退職の意思と一緒に会社へ伝えてもらえます。
期間の定めのない雇用なら、退職は申し入れから2週間で成立します(民法627条1項)。
有給がその2週間分以上残っていれば、連絡した翌日から出社せずに退職日を迎える流れになるケースもあります。
ただしこれは有給の残り日数と会社の対応しだいで、誰でも同じになるわけではありません。
運営元で「できること」が違う
ここは申し込む前に必ず確認してほしいところです。
一般の民間業者ができるのは、あなたの意思を会社に「伝える」ところまで。
会社が「有給は認めない」と返してきたときに条件を話し合う、つまり交渉ができるのは、労働組合が運営するサービスか弁護士です。
有給を全部使えるかどうかで揉めそうな職場なら、最初から交渉できる運営形態を選んでおくほうが、途中で止まらずに済みます。
申し込みの前に、自分の有給の残り日数と、転職先の入社日をメモしておくと話が早いです。
運営形態や対応範囲は、退職代行サービス
の公式サイトで確認できます。
立場別・いま取れる選択肢
まず日程の組み方だけ整理したい人
有給の残り日数を給与明細や勤怠システムで確認して、この記事の順番で退職日と入社日を仮置きしてみてください。
それを持って転職先に入社日を相談するだけで、解決することも多いです。
自分で伝えるか代行を使うかで迷っているなら、円満退職と退職代行それぞれのメリット・デメリットを比べておくと判断しやすいです。
上司に有給の話を切り出せない人
退職の意思と有給消化の希望をまとめて伝えてもらう方法があります。
相談だけなら無料で受け付けているところもあるので、日程が間に合うかどうかを聞いてみるだけでもいいと思います。
→ 退職代行サービス
で相談してみる
有給の扱いで会社と揉めそうな人
「有給は認めない」と言われる可能性が高いなら、交渉できる運営形態かどうかを基準に選んでください。
もう一つの候補として、退職代行サービス
も比べてみると判断しやすいです。
未払いの残業代などお金の請求まで考えているなら、弁護士への相談も視野に入れてください。
まとめ:有給を使い切ってから次へ行くのは、正当な権利
有給消化中は、まだ前の会社の社員。
ここさえ押さえておけば、入社日を重ねたときに社会保険や雇用保険、兼業規定で詰まる理由も見えてくるはずです。
転職先に早く来てほしいと言われると、有給のほうを削りたくなる気持ちはわかります。
でも、有給を使ってから入社したいと相談するのは、ごく普通のことなんだよ。
自分で言いにくいなら、人に伝えてもらう選択肢もあります。
あなたが積み上げてきた有給を、遠慮して手放す必要はありません。
※ 本記事は法律上の助言ではありません。
個別の状況については、弁護士や労働基準監督署にご相談ください。
記事内容は公開情報の調査に基づく編集部の見解です。
よくある質問
Q. 有給消化中に転職先で働いたら違法になりますか?
A. 在籍中に別の会社で働くこと自体が、すぐ法律違反になるわけではありません。
ただ、社会保険の二以上事業所勤務届が必要になり、雇用保険は一か所でしか加入できず、前の会社の兼業規定に触れる可能性もあります。
両方の会社に了承を取るのが前提です。
Q. 入社日を遅らせたいと言ったら内定を取り消されませんか?
A. 前職の在籍期間が理由だと伝えれば、事情として理解してもらえることが多いと思います。
心配なら、日程の希望と一緒に理由を書面やメールで残しておくと安心です。
Q. 残った有給は買い取ってもらえますか?
A. 退職時に残った有給の買取は会社の判断によるもので、応じる義務はありません。
就業規則に買取の決まりがあるか確認し、なければ相談ベースになります。
Q. 月の途中で退職したら保険はどうなりますか?
A. 前の会社での健康保険・厚生年金の資格は退職日の翌日になくなります。
入社日との間に空白ができる場合は、その期間の国民健康保険・国民年金の手続きが必要になることがあるので、住んでいる市区町村の窓口で確認してください。
※本記事は一般的な情報提供であり、法的・税務的な助言ではありません。
社会保険・年金・税金などの手続きや制度は改正される場合があるため、個別の判断は管轄窓口や社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。
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