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先に要点だけ。
ストレスチェックの個人の結果は、あなたが同意しない限り会社には渡りません(労働安全衛生法66条の10第2項)。
医師面接を申し出たことを理由に、会社があなたを不利に扱うことも法律で禁止されています(同条第3項)。
なので順番としては、①まず医師面接で休職や配置換えを相談する、②それでもしんどいなら辞めるという選択肢もある。
退職代行はこの②の中の、最後の出口として考えれば十分です。
「高ストレス」って画面に出たとき、どう受け止めたらいいか分からなかったんじゃないかな。
「面接指導の対象です」と書かれていても、申し出たら上司に知られるんじゃないか、評価に響くんじゃないか。
そう思って画面を閉じた人は多いはずです。
その怖さはおかしくありません。
制度の作りを知らなければ、誰だって警戒します。
この記事では、条文と厚生労働省のマニュアルに書かれていることだけを根拠に、どこまで守られていて、どこからは自分で判断が要るのかを整理します。
この記事でわかること
- ストレスチェックの結果が会社に届く条件と、届かない条件
- 医師面接を申し出ると何が起きて、何が禁止されているか
- 休職・配置換え・退職、それぞれに向いている人の目安
- 退職代行を考えるならどの段階か、何に気をつけるか

高ストレス判定の結果は会社にバレる?条文が決めている「渡る・渡らない」の線
本人の同意なしに結果を会社へ渡すことはできない
まず条文そのものを見てください。
「当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。」
(労働安全衛生法66条の10第2項後段)
ストレスチェックの結果は、チェックを実施した医師や保健師などから本人に直接届きます。
会社が見られるのは、あなたが「渡していいよ」と同意したときだけ。
その同意も、書面か電子データで取る決まりです(労働安全衛生規則52条の13)。
厚生労働省の導入マニュアルでは、「衛生委員会で代表が同意したから全員同意とみなす」やり方や、「期日までに断らなければ同意とみなす」やり方は認められないと書かれています。
結果を本人が見る前に同意を取ることも不適当とされています。
あと地味に大事なのがここ。
あなたの解雇・昇進・異動を直接決められる立場の人は、チェックの実施事務に関わってはいけないことになっています(同規則52条の10第2項)。
つまり直属の上司や人事の決裁者が、集計作業のついでに結果を覗く、という作りにはなっていないんです。
ただし「医師面接を申し出たら結果を渡すことに同意した」扱いになる
ここは正直に書いておきます。
厚生労働省のマニュアルでは、医師面接を申し出た人については、ストレスチェックの結果を会社へ渡すことに同意したものとして扱って差し支えない、とされています。
その扱いは事前に従業員へ知らせておく必要がある、という条件付きです。
だから「面接を申し出ても会社には何も伝わらない」は誤り。
伝わるのは事実です。
そのうえで、伝わった情報を理由に不利に扱うことが禁止されている。
守り方はこの2段構えになっています。
もうひとつ。
従業員50人未満の事業場では、ストレスチェックの実施は今のところ努力義務です(同法附則4条)。
2025年の法改正でこの特例を削ることが決まっていて、施行は公布日(2025年5月14日)から3年以内に政令で決めることになっています。
小さい会社だとそもそも面接の窓口が整っていないこともあるので、そこは頭の片隅に置いておいてください。
医師面接を申し出たら不利になる?66条の10第3項が禁止していること
条文が禁止しているのは「申し出たこと」を理由にした不利益
「事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。」
(労働安全衛生法66条の10第3項後段)
厚生労働省のマニュアルが禁止行為として挙げているのは、大きく分けてこの2つ。
- 面接を申し出たこと、ストレスチェックを受けなかったこと、結果の提供に同意しなかったこと、面接を申し出なかったことを理由にした不利益な扱い
- 面接の結果を理由にした解雇・雇い止め・退職勧奨・不当な動機による配置転換や役職の変更
「申し出たら評価が下がるかも」という不安に対しては、法律ははっきり「それはダメ」と言っています。
面接の費用も会社持ちで、本人が払うものではないとマニュアルに明記されています。
それでも「配置換え」や「残業制限」が起きることはある
ここで混乱しやすいのが、面接後に医師の意見を受けて会社がとる措置です。
66条の10第6項は、会社に対して就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少などの措置を取るよう求めています。
これは罰ではなく、あなたの健康を守るための措置という位置づけです。
ただ、医師の意見の範囲を超えた処遇や、本人の事情を無視した措置は、マニュアル上も不利益な取扱いとして禁止されています。
もし面接のあとで急に閑職に回された、退職を匂わされた、というなら、それは制度の想定から外れています。
日付と言われたことをメモしておくのがおすすめです。

医師面接→休職・配置換え→辞める、の順番で考える
医師面接で相談できること
面接では、医師が勤務の状況・心理的な負担の状況・心身の状況を確認します(同規則52条の17)。
「残業を減らしたい」「部署を変えたい」「正直もう休みたい」。
こういう本音を医師に言っていい場です。
申出はチェックの結果を受け取ったあと「遅滞なく」とされています(同規則52条の16)。
マニュアルでは、会社は申出からおおむね1か月以内に面接を実施する必要があるとされています。
迷っているうちに時間が過ぎると申し出づらくなるので、早めがいいと思う。
申出窓口が産業医などの産業保健スタッフや外部機関になっている会社もあります。
上司を通さずに済むかどうか、結果通知の案内をもう一度見てみてください。
休職するなら傷病手当金という支えがある
会社の健康保険に入っている人なら、病気で働けない期間に傷病手当金が出る可能性があります。
健康保険法99条では、働けなくなった日から3日を過ぎた日から支給され、額は直近12か月の標準報酬月額の平均の30分の1の、さらに3分の2が1日あたりの目安です。
ざっくり言うと給料の3分の2くらい。
ゼロになるわけじゃない、というだけで休む決断はだいぶ軽くなるんだよね。
受給には医師の証明が要るので、職場の医師面接とは別に、心療内科やメンタルクリニックで診てもらう流れになることが多いです。
退職と傷病手当金を組み合わせる流れは、適応障害・うつで辞めるときの退職代行と傷病手当金の進め方にまとめています。
それでも無理なら「辞める」という選択肢もある
面接も休職も、会社が制度どおりに動いてくれる前提の話です。
上司に話した途端に態度が変わった。
休職の相談をしたら「みんな頑張ってる」と返された。
そもそも面接の窓口がない。
そういう職場で踏ん張り続けるのが正解とは、編集部は思っていません。
期間の定めのない雇用なら、民法627条1項で、退職を申し入れてから2週間で雇用は終わります。
会社の許可は条件になっていません。
契約社員など期間の定めがある場合はルールが違うので、契約書を確認してください。
ここで「自分で言えない」なら、退職代行の出番です。
代行を使う前にできることも含めて、上司が怖くて退職を言い出せない人への解決策で整理しています。
下の表は、高ストレス判定のあとに取れる方法を並べたものです。
| 方法 |
費用 |
特徴 |
向いている人 |
| 医師面接(66条の10) |
無料(会社負担) |
就業上の措置につながる。 申出=結果提供への同意扱い |
会社に残る前提で、働き方を変えたい人 |
| 心療内科を受診して休職 |
受診は保険診療の自己負担。 休職中は傷病手当金の対象になりうる |
診断書が出れば休職の相談がしやすい |
まず心身を休ませたい人 |
| 自分で退職を伝える |
0円 |
民法627条1項で申入れから2週間。 上司と直接話す負担はある |
話せる余力が残っている人 |
| 退職代行に依頼 |
サービスごとに異なる(公式で要確認) |
会社への連絡を任せられる。 一般業者は伝達まで、交渉は弁護士か労働組合 |
会社と話すこと自体が限界の人 |
退職代行を選ぶなら、気をつけたいのは運営元の違いです。
一般の会社が運営する代行は、退職の意思を伝えるところまで。
有給の消化や未払い残業代の話し合いのように「交渉」が絡むなら、弁護士か労働組合が運営するサービスでないと対応できません。
料金だけで選ぶと、ここで詰まります。
編集部で公開情報を見比べるときも、料金より先に「誰が運営しているか」「交渉はどこまで可能か」を確認しています。
気になる人は、まず退職代行サービス
の公式ページで運営元と対応範囲を見てみてください。
退職代行を使っても、必ず思いどおりに辞められるとは限りません。
個別の事情で結果は変わるので、法的なトラブルが心配なら弁護士に相談してください。

立場別・いま取れる選択肢
会社に残りたい・まず試したい人
結果通知に書いてある面接の申出窓口を確認して、メールか書面で申し出る。
これが最初の一歩です。
上司を通さない窓口がないか、産業医の連絡先が案内に載っていないかも見てみてください。
とにかく今は休みたい人
心療内科やメンタルクリニックの予約を先に取る。
診断書があると、休職の話は進めやすくなります。
休んだあとに復職か退職かで迷ったら、適応障害で休職から退職を決める判断基準も参考になります。
誰かに話を聞いてほしいだけなら、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に相談窓口がまとまっています。
もう会社と話すのが限界な人
辞めると決めたなら、連絡を人に任せるのもひとつの方法です。
運営元と対応範囲を比べたい人は、退職代行サービス
もあわせて見ておくと、選ぶときの基準ができます。
有給の残り日数と、会社から借りている物(保険証・社員証・PCなど)だけは先にメモしておくと、手続きが楽になります。
よくある質問
Q. ストレスチェックを受けなかったら不利になりますか?
受けないことを理由にした不利益な扱いは、厚生労働省のマニュアル上も禁止されています。
ただ、受けておけば面接という選択肢が手に入るので、受けておいて損はないと思います。
Q. 医師面接を申し出たら上司に伝わりますか?
申し出ると、結果を会社に渡すことに同意した扱いになりうるので、会社側に情報は届きます。
ただし社内で共有する範囲は必要最小限にとどめるべき、とマニュアルに書かれています。
Q. 高ストレス判定だけで休職できますか?
判定はあくまで本人の回答をもとにした評価で、診断ではありません。
休職や傷病手当金の手続きには、医師の診断や証明が必要になるのが一般的です。
Q. 面接のあとに退職をすすめられたら?
面接の結果を理由にした退職勧奨は、マニュアル上の禁止行為です。
言われた日付と内容を記録して、労働基準監督署の総合労働相談コーナーか弁護士に相談してください。
まとめ:「高ストレス」は弱さの証明じゃなく、助けを求めていいという合図
高ストレスと出たのは、あなたが弱いからじゃありません。
今の環境が、今のあなたにとって重すぎる。
結果はそう言っているだけです。
結果は同意なしに会社へ渡らない。
面接を申し出たことで不利に扱うのは違法。
まずはこの2つを知ったうえで、面接を使ってみてください。
それでも無理なら、辞めるという選択肢もある。
そこまで考えていい状況なんです。
あなたは悪くない。
※ 本記事の内容は、公開情報の調査に基づく編集部の見解です。
法令の解釈や個別の状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。
条文は e-Gov法令検索(労働安全衛生法・労働安全衛生規則・民法・健康保険法)、運用は厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」「ストレスチェック制度導入マニュアル」を参照しています(2026年10月時点)。
※本記事は一般的な情報提供であり、法的・税務的な助言ではありません。
社会保険・年金・税金などの手続きや制度は改正される場合があるため、個別の判断は管轄窓口や社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。
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