退職時に『損害賠償を請求する』と脅されたら|法的に通るのか実例と現実的な対処法

退職 損害賠償 脅された 労働問題

※ 本記事はアフィリエイト広告を含みます。各サービスの評価はあくまで個人の体験・調査に基づくものです。

退職を切り出した瞬間、上司の顔色が変わって「お前のせいで損害が出る。賠償請求するからな」って言われた経験、ある人いるんじゃないかな。

結論から言うと、退職を理由にした損害賠償は、ほぼ通らない。

自分も前職で似たようなことを言われて、3日くらい眠れなかった時期があった。でも実際に労働問題に詳しい人に話を聞いたり、条文を調べたりしていくうちに、「あの脅し文句は9割ハッタリだったんだ」と分かった。今日はその話をしようと思う。

「損害賠償を請求する」と言われたとき、実際どうなのか

まず前提として、日本の法律では「辞める権利」は労働者にしっかり認められている。

民法627条1項にこう書いてある。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

つまり、正社員(期間の定めのない雇用契約)なら、辞めますって言ってから2週間経てば自動的に契約は終わる。会社が「認めない」と言おうが、就業規則に「3ヶ月前申告」と書いてあろうが、民法のほうが上にくる。条文の読み方や具体的な適用範囲については民法627条の詳しい解説でまとめている。

そして労働基準法5条には「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」とある。

「訴えるぞ」「賠償させるぞ」っていうのは、はっきり言って、これに引っかかる可能性がある側の発言なんだよね。

そもそも「損害賠償」が成立するのは超レアケース

じゃあ、退職に絡んで損害賠償が一切認められないのかというと、そういうわけではない。ただ、ハードルが恐ろしく高い。

過去の裁判例を見ると、労働者の退職で会社が損害賠償を勝ち取るためには、ざっくりこの3つが必要になる。

  • 労働者側に「故意」または「重大な過失」があったこと
  • 会社に具体的な損害が実際に発生したこと
  • 退職と損害の間に明確な因果関係があること

これを全部立証する必要がある。しかも会社側が、だ。

「お前が辞めたせいでプロジェクトが遅れた」「お前の代わりが見つからない」みたいなフワッとした話は、まず通らない。代わりが見つからないのは会社の人事問題であって、辞める個人の責任ではないからね。

過去の有名な判例で、急に辞めた幹部社員に対する損害賠償請求があったけど、認められたのは請求額のごく一部だけ。一般的な平社員の「2週間後に辞めます」レベルでは、まず門前払いされるのが現実。

「違約金」「研修費返還」も基本ナシ

もうひとつ脅し文句で多いのが「研修費を返せ」「違約金が発生する」パターン。

これも労働基準法16条で明確に禁止されている。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

つまり「3年以内に辞めたら100万円な」みたいな契約自体が、そもそも違法。サインしてようが効力はない。

研修費に関しては例外的に返還義務が認められるケースもあるけど、それは「業務命令ではなく自由参加の高額研修(海外留学など)」「金額・条件が明示されていた」など、かなり限定的な場合だけ。普通の新人研修や社内OJTで「研修費返せ」は通らないと考えていい。

脅されたときに自分がやるべきこと

とはいえ、目の前で怒鳴られて「賠償請求するからな!」って言われると、頭が真っ白になる。自分がそうだった。同じように上司の怒声で動けなくなる人向けに上司が怖くて退職を言い出せないときの具体的な解決策も書いてあるので、合わせて読んでほしい。

あの時、冷静に対応できればよかったんだけど、実際は震えながらその場をしのいだ。後から考えて、やっておくべきだったのはこの3つだった。

① 録音する

これは最強の防御。スマホをポケットに入れて録音ボタンを押しておくだけでいい。

後で「言った/言わない」になったとき、録音があるかないかで状況が180度変わる。日本では一方の当事者として録音することは違法ではない(無断録音でも証拠能力は認められる)から、躊躇しなくていい。

② その場では何も認めない・サインしない

「お前が悪いと認めろ」「念書を書け」と迫られても、絶対にその場で何も書かないこと。一度書類にサインすると、後で覆すのが面倒になる。

「持ち帰って検討します」で十分。その場の空気で押されないように。

③ 退職届を内容証明郵便で送る

口頭で「辞めます」と言って受理してもらえないなら、退職届を内容証明郵便で会社宛に送る。これで「いつ退職の意思を伝えたか」が公的に記録される。

2週間後には法的に労働契約が終了するから、その後は出社する義務もない。

状況別の対処法を比較してみた

「脅された」と言っても、状況によって取るべき手段は違う。自分なりに整理するとこんな感じ。

状況 取るべき手段 費用感
脅されたが冷静に対応できる 録音+内容証明で退職届 数千円
パワハラ・違法行為がある 労働基準監督署・総合労働相談コーナー 無料
本気で訴訟をちらつかされた 弁護士相談(法テラス含む) 初回無料~
もう会社に行きたくない・話したくない 退職代行 2~5万円

「もう自分では無理」と思ったら退職代行という選択肢

ここまで「脅しはほぼハッタリ」「録音して内容証明出せ」と書いてきたけど、正直、追い詰められてる人にこれを全部やれって言うのは酷だと思う。

自分の知り合いで、退職を切り出した翌日から上司の机を叩く音と怒鳴り声がフラッシュバックして、家を出るだけで吐き気が止まらなくなった人がいた。その人は結局、退職代行サービスを使って、会社と一切顔を合わせずに辞めた。

「逃げ」だと思う人もいるかもしれないけど、自分は違うと思う。怒鳴られながら2週間我慢して、心が壊れたら、その後の人生のほうがよっぽど長く失われる。

退職代行のメリットは、こんなところ。

  • 会社と直接やりとりしなくていい
  • 多くの場合、即日出社不要にできる
  • 有給消化や私物の郵送依頼も代行してくれる業者が多い
  • 「損害賠償する」と脅された会社に対して、第三者として対応してもらえる

注意点としては、業者によって対応範囲が違うこと。会社との「交渉」(有給日数の調整、未払い残業代の請求など)ができるのは、労働組合が運営する退職代行か、弁護士が運営する退職代行だけ。一般企業が運営する退職代行は「伝達」のみで、交渉はできない。実際に代行を使われた会社側がどう動くかは退職代行を使われた会社側のリアルな対応にまとめてあるので、相手側の温度感を知っておくと判断しやすい。

もし会社からの脅しが激しい、未払い残業代がある、などの事情があるなら、労働組合系か弁護士系を選ぶのが無難だね。退職代行サービスを選ぶときは、運営元(企業/労組/弁護士)を必ず確認してから申し込んでほしい。

状況別のおすすめアクション

最後に、読んでくれてる人の状況別に、次にやることをまとめておく。

  • まず冷静に動きたい人 → スマホで録音準備+退職届をテンプレ通りに作成。内容証明郵便で送る
  • 本気で「訴える」と言われて怖い人 → 各都道府県の総合労働相談コーナー(無料)か、法テラスに相談。脅迫罪の可能性も含めて法的アドバイスがもらえる
  • もう会社と話したくない・顔を見たくない人退職代行サービスの利用を検討。労働組合系・弁護士系を選ぶと交渉までカバーできる

よくある質問

Q. 「訴える」と言われた時点で、もう訴訟になるんでしょうか?

その場で「訴えるからな」と言うのと、実際に裁判所に訴状を出すのは全くの別物。本当に訴訟するなら、会社は弁護士費用と時間と手間をかけて、しかも勝てる見込みが薄い裁判をすることになる。脅し文句で終わるケースが圧倒的に多いよ。ただし不安な場合は念のため弁護士に相談しておくと安心。

Q. 退職届を受け取ってもらえません。どうすればいいですか?

内容証明郵便で会社宛に郵送するのが確実。「受け取っていない」とは言わせない記録が残る。送付後2週間で、民法627条により労働契約は終了する。

Q. 入社時に「3年以内に辞めたら違約金」と書類にサインしました。払わないとダメですか?

労働基準法16条で「違約金を定める契約」自体が禁止されているから、その契約は無効と考えられる可能性が高い。ただし個別事情で判断が変わることもあるので、心配なら法テラスや弁護士に相談を。

Q. 退職代行を使ったら転職に不利になりますか?

退職代行を使ったかどうかは、次の会社には基本的にバレない。前職に問い合わせる転職先もほぼないし、仮にあっても在籍期間と退職日しか答えない会社がほとんど。気にしすぎなくて大丈夫。

最後に

「損害賠償する」って言われたとき、自分も本当に怖かった。会社の言うことが全部正しいような気がして、自分が悪い人間に思えた。

でも、辞めるのは法律で認められた権利だ。脅しで止められるようなものじゃない。

今しんどい人へ。あなたは悪くない。脅してくる側がおかしい。それだけは覚えておいてほしい。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的助言ではありません。具体的なケースについては弁護士や労働基準監督署、厚生労働省の労働相談窓口にご相談ください。

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