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先に要点だけ。
うつや適応障害で退職して、すぐには働けない。
それなら、失業保険(雇用保険の基本手当)は「受給期間延長」を申請しておけば、あとからでも受け取れる可能性が残ります。
働けない間は健康保険の傷病手当金、回復してから失業保険。
この順番で考えておけば、「休んだら手当をもらい損ねる」という焦りはかなり小さくできます。
退職代行で辞める場合も、離職票の送り先さえ最初に伝えておけば書類はちゃんと揃います。
※ 制度の説明はハローワーク・厚生労働省の公開情報をもとにしています。
個別の判断はハローワークや加入している健康保険の窓口で確認してください。
記事内の事例は、状況を分かりやすくするための想定例です。
いま、この記事を開いているということは、たぶん「辞めたい」か「もう辞めた」のどちらかですよね。
朝起きるだけで精一杯なのに、ハローワークに行って求職の申し込みなんて考えられない。
でも手当の期限が切れるのも怖い。
その板挟み、かなりしんどいと思います。
先に言っておくと、「まず休む」はちゃんと制度の上で用意されている選択肢です。
この記事でわかること
- 失業保険の受給期間が「1年」で切れる仕組みと、延長できる条件
- 傷病手当金と失業保険、どちらを先に受け取るか
- 受給期間延長の申請手順と、持っていくもの
- 退職代行で辞めるときに、離職票を確実に受け取るための伝え方
失業保険には「1年の期限」がある。休んでいる間に切れるのが一番もったいない
ここ、知らない人がかなり多いところです。
失業保険は「辞めてから1年以内なら、いつでも満額もらえる」わけではありません。
雇用保険法20条1項で、基本手当を受け取れる期間(受給期間)は原則として離職日の翌日から1年間と決まっています。
(所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)
この1年を過ぎると、給付日数が残っていても、その分は受け取れなくなります。
たとえば、適応障害で退職して半年間まったく動けなかった人を想定してみます。
回復してから求職申し込みをしても、残りの受給期間は半年。
所定給付日数が90日なら間に合いますが、手続きや待期期間を挟むと思ったより余裕はないんです。
自分がハローワークの案内を読み込んでいて一番ヒヤッとしたのは、ここでした。
「体調が戻ったらハローワークに行こう」という、一番まっとうな行動をとった人ほど損をしかねない。
延長できるのは「引き続き30日以上働けない」とき
ハローワークの案内では、病気、けが、妊娠、出産、育児などの理由で引き続き30日以上働くことができなくなったときに、受給期間を延長できるとされています。
うつ病・適応障害などで療養が必要な状態も、この「病気」に含まれます。
申請にあたっては、働けない状態であることを医師の証明などで示すことになります。
最長で3年延ばせる。ただし「日数」が増えるわけじゃない
延長できる期間は最長3年。
本来の1年と合わせて、最大で離職日の翌日から4年間まで受給期間を持っておけます。
注意したいのは、延ばせるのは「受け取れる期間の枠」だけだという点。
給付日数や1日あたりの金額が増えるわけではありません。
あくまで「期限切れで消えるのを防ぐ」ための制度だと思っておくと、ずれがないです。

働けない間は傷病手当金、回復したら失業保険。この順番が基本
失業保険は「働ける状態で、仕事を探している人」のための給付です。
だから、療養中の人はそもそも受け取る条件を満たしません。
働けない期間の生活費を支えるのは、健康保険の傷病手当金のほう。
2つは同時には受け取れない設計なので、「先に傷病手当金、あとで失業保険」と縦に並べて考えるのがわかりやすいと思います。
退職後も傷病手当金を受け取るための条件
健康保険法104条により、退職後も傷病手当金を受け取り続けられる場合があります(資格喪失後の継続給付)。
協会けんぽなどの案内で示されている主な条件は、次の2つです。
- 退職日までに、継続して1年以上健康保険の被保険者だったこと
- 退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること
ここで落とし穴になりやすいのが、退職日に出勤してしまうこと。
「最終日くらい挨拶に行かなきゃ」と出勤すると、その日は働けた扱いになり、退職後の継続給付が受けられなくなる可能性があります。
挨拶のための出勤でもそう扱われうるので、ここだけは覚えておいてほしいです。
支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月までです。
なお、加入している健康保険組合によって運用が異なる部分もあります。
法的な判断が必要な場面は、健康保険の窓口や弁護士・社会保険労務士に相談してください。
在籍中から退職後までの流れをまとめて知りたい人は、退職代行と傷病手当金を組み合わせて辞める手順も読んでみてください。
3つの選択肢を並べるとこうなる
| 方法 |
手元に入るお金の目安 |
条件・特徴 |
向いている人 |
| すぐ求職申し込み(失業保険) |
基本手当日額×所定給付日数(日額は離職前賃金のおおむね50〜80%) |
働ける状態であることが前提。 正当な理由のない自己都合退職は、原則1か月の給付制限あり(令和7年4月1日以降の離職) |
体調は大丈夫で、早めに転職活動を始めたい人 |
| 受給期間延長 |
延長中は支給なし(あとで受け取る権利を残す) |
引き続き30日以上働けないこと。 最長3年延長 |
療養が長引きそうで、失業保険を捨てたくない人 |
| 傷病手当金(退職後の継続給付) |
おおむね離職前の標準報酬日額の3分の2 |
被保険者期間1年以上+退職日に受給中か受給条件を満たすこと。 通算1年6か月まで |
いまは治療に専念したい人 |
いちばん手厚いのは「傷病手当金を受けながら受給期間延長も申請しておく」組み合わせです。
回復したら延長を解除して求職申し込み。
これで両方を無駄にしない流れになります。
もうひとつ知っておいてほしいのが、病気が理由の退職は「正当な理由のある自己都合退職」(特定理由離職者)として扱われる可能性があること。
そうなれば給付制限はかかりません。
ただ、判断するのはハローワークなので、医師の意見書などを用意して窓口で相談してみてください。

受給期間延長の申請手順と、揃えておく書類
手順そのものは、思っているよりシンプルです。
- 退職後、会社から離職票が届くのを待つ
- 主治医に、働けない状態であることの証明をお願いする
- 住所地を管轄するハローワークに延長を申請する(本人が行けなければ、代理人か郵送でも可)
- 働ける状態に回復したら、ハローワークで受給手続き(求職申し込み)をする
持っていくもの
一般的には、受給期間延長申請書、離職票、働けない理由を確認できる書類(医師の証明書など)を求められます。
代理人が行くなら委任状も必要。
細かい持ち物はハローワークごとに案内が違うことがあるので、行く前に電話で確認しておくと二度手間になりません。
郵送でも申請できる、というのは療養中の人にとってかなり大きいんじゃないかな。
窓口で順番を待つだけで消耗する時期に、無理して出向く必要はないんです。
申請はいつまでに?
現在は、延長後の受給期間の最後の日までであれば申請できる扱いになっています。
ただしハローワークの案内では「30日以上働けなくなった日の翌日以降、早期に申請」とされています。
遅れると、あとで受け取れる日数が足りなくなるおそれもあるので、体調の良い日に早めに済ませておくのが安心です。
失業保険以外の切り替えも含めて抜け漏れを防ぎたいなら、退職後にやるべき保険・年金・税金の手続きリストで全体の順番を確認しておくと安心です。
退職代行で辞めるときに、離職票を確実に受け取る方法
「退職代行で辞めたら、会社から書類をもらえないんじゃないか」
これ、相談で本当によく出てくる不安です。
結論から言うと、離職票の発行は会社がしなければならない手続きで、退職代行を使ったかどうかは関係ありません。
会社は資格喪失の手続きと一緒に離職証明書をハローワークに出し、それをもとに離職票が発行されます。
(離職票は本人の希望で交付されるので、「離職票が欲しい」ことは必ず伝えておきましょう)
依頼するときに伝えておく項目
- 離職票(離職票-1・離職票-2)の発行を希望すること
- 書類の郵送先(実家に戻るなら、その住所)
- 源泉徴収票、健康保険の資格喪失に関する書類、年金手帳などの返却物
- 傷病手当金を申請する予定なら、申請書の事業主記入欄への記入をお願いしたいこと
- 退職日まで出勤しないこと(有給の消化や欠勤扱いの相談も含めて)
最後の傷病手当金の項目は、見落とされやすいところです。
申請書には会社が書く欄があるので、辞めたあとで頼みづらくなる前に、代行業者を通じて伝えておくと楽になります。
なお、書類の送付をお願いする「伝達」は民間の退職代行でもできます。
一方で、退職日の調整や未払い賃金の請求など会社との「交渉」ができるのは、弁護士か労働組合が運営するサービスに限られます。
ここは弁護士法72条との関係で線引きがはっきりしているので、自分の状況に交渉が必要かどうかで選び分けてください。
条件を比べながら探すなら、退職代行サービス
の対応範囲(書類の送付依頼まで対応しているか、運営は民間か労働組合か)を先に確認しておくといいと思います。
マイナポータルで離職票を受け取れる場合もある
令和7年1月20日から、希望する人はマイナポータルで離職票を直接受け取れるようになりました。
ただし、会社が離職手続きを電子申請していること、マイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を自分で済ませていることなど、いくつか条件があります。
会社から郵便が届くのを待つのが不安な人は、退職前に連携設定だけでも済ませておくと気が楽かもしれません。
立場別・いま取れる選択肢
まだ在籍中で、会社に言い出せない人
まずは心療内科などを受診して、いまの状態を記録に残しておくのがおすすめです。
休職を挟むか、そのまま辞めるかで迷っているなら、適応障害で休職するか退職するかの判断基準が整理の助けになると思います。
そのうえで、会社とのやりとりそのものが負担なら、退職代行サービス
に相談して、離職票や傷病手当金の書類まで含めて伝えてもらう方法もあります。
退職日の調整や未払い賃金など、会社と話をつける必要がある人
交渉が必要なら、労働組合か弁護士が運営するサービスを選ぶのが前提になります。
退職代行サービス
の運営形態を確認して、自分の状況に合うかを見てから申し込んでください。
もう辞めていて、お金をかけずに手続きだけ進めたい人
住所地のハローワークに電話して、受給期間延長の持ち物と郵送での申請方法を聞くところから始めれば大丈夫です。
制度の案内はハローワークインターネットサービス(基本手当について)にまとまっています。
よくある質問
Q. 受給期間延長の申請をしたら、延長中は何ももらえないんですか?
A. 延長中に失業保険は出ません。
その間の生活費は、条件を満たしていれば健康保険の傷病手当金で支えるのが一般的な流れです。
Q. 体調が悪くてハローワークに行けません。
A. 受給期間延長の申請は、代理人か郵送でもできるとハローワークが案内しています。
必要書類は管轄のハローワークに電話で確認してから送ると確実です。
Q. 退職代行で辞めると、離職票が「自己都合」にされて不利になりませんか?
A. 退職代行を使ったこと自体で離職理由が変わるわけではありません。
病気が理由の退職なら特定理由離職者と判断される可能性があるので、医師の意見書などを持ってハローワークで相談してみてください。
離職理由に納得できない場合も、ハローワークで異議を申し立てられます。
Q. 退職日に最後の挨拶だけしに行ってもいいですか?
A. 退職後も傷病手当金を受け取りたいなら、退職日の出勤は避けたほうが安全です。
その日は働けた扱いになり、継続給付の条件を満たさなくなる可能性があります。
まとめ:休んでから動いても、ちゃんと間に合う
失業保険には1年の期限がありますが、働けない期間があるなら受給期間延長で最長3年まで延ばせます。
働けない間は傷病手当金、回復したら延長を解除して失業保険。
この順番さえ押さえておけば、「休んだせいで損をする」ことはかなり防げます。
心や体が限界まで来ているときに、無理して求職活動を始める必要はないんですよ。
それで辞めるのが遅くなったとしても、あなたが弱いからじゃない。
それだけ踏ん張ってきたということだと思います。
まずは休む。
手続きは、動ける日に一つずつで十分です。
※ 本記事は公開情報の調査と編集部の見解に基づくもので、個別の法的助言ではありません。
詳しくは弁護士・社会保険労務士、またはハローワークにご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、法的・税務的な助言ではありません。
社会保険・年金・税金などの手続きや制度は改正される場合があるため、個別の判断は管轄窓口や社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。
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