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先に要点だけ。
会社から借りたお金が残っていても、辞めること自体は止められません。
借金は辞めた後も「返すお金」として残りますが、最後の給料から会社が勝手に全額を差し引いてよいわけではありません。
返し方は話し合いで決められます。
退職代行を使う場合も、借りている額と返し方の希望を先に業者へ伝えておけば、手続きが止まりにくくなります。
「借りたお金があるのに辞めるなんて、恩をあだで返すようで言い出せない」
そう感じるのは、あなたが誠実だからだと思います。
借金に限らず、切り出すこと自体が怖くて足が止まっているなら、上司が怖くて退職を言い出せない人への具体的な解決策も参考にしてみてください。
ただ、その誠実さが「辞められない理由」になっているなら、一度ほどいておいたほうがいい。
この記事でわかること
- 借金が残っていても退職できる理由(民法627条・労働基準法17条)
- 最後の給料から一括で天引きされるときに確認すること(労働基準法24条)
- 一括・分割・天引きなど、返し方ごとの違い
- 退職代行で辞める場合に、業者へ先に伝えておくこと
借金が残っていても、「辞めること」と「返すこと」は別の話
「返し終わるまで辞めさせない」は通りません
期間の定めのない雇用なら、民法627条1項で、退職を申し入れてから2週間で雇用契約は終わります。
ここに「借金がないこと」という条件は書かれていません。
契約社員など期間の定めがある雇用は扱いが変わるので、そこだけは契約書を確認しておいてください。
会社が「返すまで辞めさせない」と言ってきても、それで退職の効力が止まるわけではないんです。
労働基準法17条が禁じていること
労働基準法17条は「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」と定めています。
昔の「借金を背負わせて働かせ続ける」やり方を防ぐための条文です。
ただし、社内貸付がすべてこの条文に当たるわけではありません。
住宅資金や生活資金の貸付で、働くことが条件になっていないと言えるものは対象外として扱われることがあります。
自分がこのテーマで条文を読み返して意外だったのは、17条は「借金を返さなくていい」とは一言も言っていない点でした。
借りたお金は返す。
けれど、それを理由に働き続けることを強いられはしない。
この二つを分けて考えるのが出発点になります。

最後の給料から一括天引きされるときの確認点
天引きには「根拠」が要ります
労働基準法24条1項は、賃金は「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。
例外として給料から差し引けるのは、税金や社会保険料のように法令で決まっているものか、会社と労働者の過半数代表などの間で書面の協定(いわゆる24協定)があるものです。
もう一つ、本人が自由な意思で同意した場合に相殺を認めた最高裁の判例(平成2年)もあります。
逆にいうと、協定も同意もないまま会社の判断だけで最後の給料をまるごと差し引くのは、24条の問題になりえます。
確認しておきたい4つ
- 借りたときの契約書・念書に「退職時は残額を一括返済」と書かれているか
- 会社に貸付金の控除についての労使協定があるか(就業規則と一緒に確認できることが多い)
- 最後の給与明細に「貸付金返済」など控除の内訳がきちんと載っているか
- 残額はいくらで、利息や手数料が上乗せされていないか
残額は、退職を切り出す前に自分でも一度計算しておくと落ち着けます。
「残り38万円のはずが、会社の説明では45万円だった」といった食い違いは、最後に揉める原因になりやすいからです。
返し方ごとの違い
返し方はひとつではありません。
ざっくり比べるとこうなります。
| 返し方 |
手元のお金への影響 |
特徴 |
向いている人 |
| 最後の給料から天引き |
最終月の手取りが大きく減る |
協定か本人の同意が前提。 手続きは一番少ない |
残額が少なく、次の収入まで貯金でつなげる人 |
| 退職日までに一括で振込 |
貯金が一度に減る |
給料は満額受け取れて、関係もすっきり終わる |
返せるだけの貯金がある人 |
| 退職後に分割で返済 |
毎月の負担は小さい |
会社との合意が必要。 回数・金額・振込日を書面に残す |
転職先が決まっていない・残額が大きい人 |
自分なら、転職先が決まっていない限り分割を先に打診します。
無職期間の生活費が底をつくほうが、会社への気まずさよりずっと深刻だからです。
辞めた後は健康保険・年金・住民税の支払いも重なるので、退職後にやるべき手続きリストで出費の時期を先に並べておくと、分割の回数を決めやすくなります。
分割にするなら、口約束で終わらせないでください。
「毎月25日に2万円、全10回」のように書面にしておけば、後から一括請求されにくくなります。

退職代行で辞める場合の返し方
業者に先に伝えておくこと
借金があると、会社側が「本人と直接話したい」と言ってくることがあります。
それを避けるためにも、申し込むときに次の情報をまとめて渡しておくのがおすすめです。
- 借りた時期・金額・現在の残額
- 契約書や念書の有無(あれば写真)
- 返し方の希望(最終給与から天引きでよい/分割を希望/一括で振り込む)
- 返済の連絡先として、会社に伝えてよい手段(郵送のみ、メールのみ等)
業者の種類で、できることが違います
ここは見落としやすいので、はっきり書いておきます。
返済方法や金額について会社と「交渉」できるのは、弁護士か、労働組合が運営する退職代行だけです。
| 運営元 |
費用感 |
借金について対応できる範囲 |
向いている人 |
| 民間企業 |
比較的安い |
あなたの希望を「伝える」まで。 条件の交渉はできない |
残額や返し方で揉めていない人 |
| 労働組合 |
中程度 |
団体交渉として返済方法の話し合いに入れる |
分割にしてほしい、天引き額を相談したい人 |
| 弁護士 |
高め |
交渉から、訴訟を含む法的な対応まで |
残額に争いがある・請求額が大きい人 |
料金は各社で違うので、最新の額は必ず公式サイトで確認してください。
分割返済を話し合う見込みがあるなら、交渉権のない業者に頼むと途中で止まります。
正直、自分は安さに引かれて民間の業者を選びたくなるほうなんですが、借金が絡むときは運営元を先に確かめるようにしています。
運営元と対応範囲を確かめたうえで、退職代行サービス
の無料相談で「借金が残っている」と最初に伝えてみるのがいいと思います。
立場別・いま取れる選択肢
まず話だけ聞いてみたい人
残額を書き出して、無料相談で「この状況で辞められるか」を聞いてみてください。
申し込まなくても、状況の整理にはなります。
→ 退職代行サービス
分割返済を話し合いたい・本気で辞めたい人
交渉が必要になるので、労働組合運営か弁護士の退職代行を比べてみてください。
対応範囲を問い合わせ時に確認するのが確実です。
→ 退職代行サービス
費用をかけずに進めたい人
自分で退職届を出し、返し方の希望を書面で添えるのが一番安く済みます。
天引きの扱いで困ったら、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
窓口の所在地や受付時間は厚生労働省の公式サイトで確認できます。

よくある質問
Q. 借金があると、退職届を受け取ってもらえないことはありますか?
A. 受け取りを拒まれても、期間の定めのない雇用なら民法627条1項により、申し入れから2週間で退職の効力が生じます。
内容証明郵便で送れば、申し入れた日の記録が残ります。
Q. 最後の給料が0円になるほど引かれました。
仕方ないのでしょうか?
A. 労使協定や本人の自由な同意がないまま差し引かれたのなら、労働基準法24条の問題になりえます。
給与明細と借用書を手元に残して、労働基準監督署か弁護士に相談してください。
Q. 退職金と相殺されることはありますか?
A. 退職金規程があれば退職金も賃金として扱われるため、天引きには同じく協定や同意が必要です。
相殺に同意するかどうかは、残額と退職金額を確かめてから決めて大丈夫です。
Q. 返済を分割にしたら、会社から訴えられませんか?
A. 合意したとおりに返していれば、揉めることはあまりありません。
合意内容を書面に残し、振込の記録を保管しておくと安心です。
※ 本記事は編集部の調査に基づく一般的な情報で、個別の法的助言ではありません。
具体的な状況については弁護士にご相談ください。
まとめ:借りたお金は返す。でも、辞める自由まで差し出す必要はない
会社にお金を借りたことを、弱みのように感じなくていいんです。
困っていたときに制度を使っただけ。
返す気持ちがあるなら、それで十分誠実だと思います。
残額を書き出す。
契約書を探す。
返し方の希望を決める。
ここまで済めば、あとは直接伝えるか、代わりに伝えてもらうかを選ぶだけです。
どちらが合うか迷うなら、円満退職と退職代行のメリット・デメリットを比べてから決めても遅くありません。
「借金があるから辞められない」は、思い込みの部分が大きかったのかもしれません。
辞めるかどうかはあなたが決めていい。
この記事がその材料になればと思います。
※本記事は一般的な情報提供であり、法的・税務的な助言ではありません。
社会保険・年金・税金などの手続きや制度は改正される場合があるため、個別の判断は管轄窓口や社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。
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